パーキンソン病とは
脳内のドパミンという神経伝達物質が減少するという異常のために、体の動きに障害があらわれる病気です。
現在、日本には約20万人の患者さんがいるといわれています。男性よりも女性が多く、高齢者に多くみられますが、若い方でも発症することがあります。
パーキンソン病は、何年もかけてゆっくりと進行する病気です。現在は効果的な治療薬もあるため、発症から長い年数にわたり、よい状態を保つことができます。それだけに、早い段階からきちんと治療を始めることが大切です。
パーキンソン病の症状
パーキンソン病には「運動症状」と「非運動症状」があります。
運動症状
- 何もせずじっとしているときに、手足やあごが勝手にふるえる
- 筋肉・関節がかたく、動作がぎこちない(肩や腰の痛みが出ることもある)
- 歩く、座るなどの動作のはじめを素早くできない
- 姿勢が前方に傾き、歩行が小刻みになる。つまずいたり、転倒しやすい。
- 表情が乏しい。会話中の身振りが無い。
多くは左右どちらかの手足の震えや動作の鈍さが最初の症状として現れます。
非運動症状
- 便秘・頻尿(特に便秘症状は患者さまに多く見られます)
- 無気力やうつなどの気分障害
- 判断力や記憶力など認知機能の低下
- 不眠などの睡眠障害
進行すると幻覚や妄想、立ちくらみといった症状が現れることがあります。進行度合いによって発現する症状が変わったり、認知症と似た症状が見られる場合があるため、特に高齢の方になるほど年齢によるものだと諦めたり誤解しやすいという面があります。
パーキンソン病の診断
パーキンソン病であるか、診断はまず問診からはじめます。いつ頃からどのような症状が出ているのか、他にこれまでと変わった様子はないか、といったことをお伺いし、同時に医師が様子の観察・触診などを行います。
パーキンソン病の症状によく似た症状をきたすレビー小体型認知症や、水頭症、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺などのパーキンソン症候群があり、いくつかの検査をすることで確実に病気を見極めていきます。大変だと思われるかもしれませんが、当院には近隣に連携医療機関が多数あります。どうぞ安心して受診してください。
パーキンソン病の治療
早期発見・早期治療が特に重要な病気です。根本的な治療法は確立されていないため、進行を遅らせたり、諸症状の軽減をしたりといった対症療法を行います。病気が進行してしまう前に治療を開始し、普段の生活を続けながら症状を観察していくことが大切です。
当院では運動や食事による症状の悪化防止対策も指導しています。治らない病気なんだと落ち込まず、少しでも良い状態で日々を過ごせるように一緒に相談していきましょう。